昨今のグローバル化やデジタル化、キャリアの選択肢の多様化などから『海外で働く』ことが、以前ほど珍しいことではなくなっています。外務省の海外在留邦人調査統計によれば、2021年10月時点で海外に住む日本人は134万人。ここ2年はコロナウイルスの影響で減少傾向にあります。しかし、その数は1990年と比較すると2倍以上、2000年と比較しても1.5倍以上に伸びています。
これから海外で暮らしたい、働きたいという方を悩ませるのは、どこの国にするか、ということでしょう。
私はカナダとオーストラリアで留学経験、インドとフィリピンで仕事をした経験があります。また、これまで40以上の国々を旅してきました。そうした経験から、フィリピンが日本人が最初に働く海外、として最も良い選択肢だと思っています。この記事では、その理由を解説していきます。
・初めて海外で働く人にフィリピンをおすすめする理由
・フィリピンで働くことのデメリット
・フィリピンで働くことをおすすめする人
・フィリピンでの求人の見つけ方
初めて海外で働く人にフィリピンをおすすめする8つの理由
これまで海外で住み、働いた経験から、私がフィリピンを最初の働く国としておすすめする理由には以下があります。
2) 働きながら英語を磨くことができる
3) フィリピンが親日国である
4) これから成長していく国。成長や改善の余地を感じながら働ける
5) 平均年齢が低く、マネジメント経験を積みやすい
6) 日本食が手に入り、生活がしやすい
7) 日本から近く、時差も1時間だけ
8) 物価が低い。生活費が安くなる
仕事を見つけやすい
外務省の「海外進出日系企業拠点数調査」によれば、フィリピンに進出している日系企業は2021年10月時点で1,377社。この数はアジアのなかで、中国、タイ、インド、インドネシア、ベトナムに次いで6番目の多さになっています。日本人が海外で働くには、多くの場合、日本企業で働くことになります。そして、日本企業の多さは求人が多い、とも言い換えられるでしょう。
フィリピンの日本企業への求人の競争率はそこまで高くなく、日本で入社するよりも難易度が低いことが多いです。そのため、一定程度の英語力と社会人経験があれば、仕事を就きやすいです。
働きながら英語を磨くことができる
フィリピンは英語が公用語の1つになっています。実際、フィリピン人の英語力は高いです。国際英語教育機関のEFエジュケーション・ファーストが発表した2022年「EF EPI 英語能力指数」の結果によれば、フィリピンは22位。アジアではシンガポールの2位に次ぐ高さで、日本が80位であることからも、その高さを分かっていただけると思います。
フィリピンで生活していても、職場のみならず、ほとんどのシーンで英語でやりとりすることができます。レストラン、ホテル、病院、タクシー。旅行で地方に行った際にもほとんど不自由がありません。
アクセントもあまりなく、聞きとりやすく、簡単なセンテンスで話す人が多いので、理解しやすい場合が多いです。
英語を磨くことができれば、その後のキャリアの選択肢もずっと広がるでしょう。
フィリピンが親日国である
仕事においても生活においても、フィリピンは親日国であると感じます。私はフィリピンで4年仕事をしてきましたが、日本人と言って悪い反応をされたことがありません。
私がフィリピンが親日であると感じた瞬間について紹介させてください。
・「made in Japan」をアピールする商品
・日本食レストランでの長い行列を見たとき
・英会話スクールの講師に「日本人」と伝えたときの良き反応
職場でのコミュニケーションがとりやすく、顧客との信頼関係も築きやすいと思います。
これから成長していく国。成長や改善の余地を感じながら働ける
平均年齢は日本の49歳に対し、フィリピンは26歳。このデータだけでも、フィリピンがまだまだ成長余地のある国だということが、分かっていただけると思います。業界や取り扱う製品、サービスにもよりますが、これから伸びていく国です。
また、意外に思われるかもしれませんが、私はフィリピンで働いていて、フィリピン人に優秀な人が多いと感じます。もちろん会社や人によりますが、特に20代などの若い年齢層は、日本の大企業の社員に劣らず優秀だと感じます。そうした優秀なフィリピン人と共に働くことは、キャリアの成長機会にもなるはずです。
平均年齢が低く、マネジメント経験を積みやすい
前述した通り、フィリピンの平均年齢は26歳。日本の49歳とは大きな開きがあります。日本の、特に大企業で働いている方であれば、ポジションが空かず、なかなか昇進ができないと思っている方もいるでしょう。フィリピンでは平均年齢が若いので、大企業でも20代後半からマネージャー以上のポジションが期待できます。
自分自身だけでなく、チームにも責任をもつマネージャーの仕事は責任も増します。ただ、より大きな仕事、より良い待遇を求めていくには、役職もステップアップしていかなければなりません。日本では30-40代にならないと積めない経験が先取りできます。
キャリアを築いていく上でも、マネジメント経験は大きな武器になります。マネジメントポジションの求人は、マネジメント経験を必要とする場合が多くあるからです。
日本食が手に入り、生活がしやすい
日本の飲食店、スーパーも多くあります。飲食店では、丸亀製麺、モスバーガー、CoCo壱番屋、吉野家、一風堂、とんかつ和幸など。
日本で食べるよりも1-2割程高くなる飲食店が多いですが、それでも日本食へアクセスができることは大事なことだと思います。私は以前、インドで働いていましたが、牛肉や生卵、みそ汁、納豆。そうしたものがとても恋しくなりました。
日本でよく見かける海外の飲食店も多くあります。マクドナルド、スターバックスはもちろん、ハンバーガーのShackShack、中華料理の鼎泰豊(ディンタイフン)。こうした豊富な食の選択肢は、生活を豊かにするはずです。
日本から近く、時差も1時間だけ
日本⇄フィリピンのフライトは4時間半程。航空券代もその分、他国よりも比較的安くなりますので、気軽に行き来することができます。私も週末に3-4日だけ日本に帰ることがあります。
時差が日本から-1時間だけ、というメリットもあります。日本にいる家族や友人と連絡がとりやすいことは、孤独になりがちな海外の生活で、大事なことだと思います。
私は以前バンクーバーに留学していたことがありますが、日本との時差が17時間。日本の友人に連絡してもタイムリーに連絡のやりとりができず、寂しい思いをしたこともあります。
物価が低い。生活費が安くなる
日本で生活するよりも生活費が比較的安くなります。私が東京に住んでいた際の生活費は家賃込みで月20万円程度。フィリピンでもマニラの中心部に住んでいますが、15万円程で生活ができています。
よく言われる「月5万円生活」は難しいと感じますが、それでも日本の生活費より安く済むと思います。
フィリピンでの生活費について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
フィリピンで働くデメリットは?
一方、フィリピンで働くデメリットもあります。私のフィリピンでの仕事経験から、このようなデメリットがあります。
・日本と比較して仕事が雑、なかなか進まない
・生活環境が良くない
日本より待遇の良い仕事は少ない
日本で働く場合と比較し、給料が下がる場合が多いです。例えば日本企業のフィリピン支社で働く場合、海外駐在か現地採用かによって大きく異なりますが、現地採用の場合、日本で働く程の給料は期待できません。
一方、生活費が日本より安く済むので、手元に残るお金としては、日本と同等かそれ以上という方も多いようです。
日本と比較して仕事が雑、なかなか進まない
日本での仕事と比較して、フィリピン人の仕事の仕方が雑で物事がなかなか進まない、と感じることがあります。日本人の仕事のしかたが異常だという考え方もあります。ただ、長く日本で仕事をしてきた方、几帳面な方、実行の前に準備をきちんとしたい方などにとってはストレスになるかもしれません。
また、他部門や他社との折衝の遅れ、政府系機関の手続きの遅延など、物事がなかなか進まないと感じることもあるでしょう。
私はフィリピンでのやり方に慣れてしまいましたが、日本のような緻密な仕事の仕方はもうできないかもしれない、と思ってしまうことがあります。
フィリピンの生活環境が良くない
「働く」よりも「暮らす」に関わることですが、生活環境が日本と比較して良くない点がストレスとなり得ます。渋滞や大気汚染、治安、衛生環境、食事など、日本やその他の海外より環境が悪く、不便な点が多いです。そうした不便さに耐えられない方だとフィリピンで暮らしていくことは難しいと思います。
生活上のデメリットについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。気になる方は読んでみてください。
参考>> フィリピン移住のデメリットを挙げてみた | 失敗しないために知っておきたいこと
フィリピンで働くことが合っている人とは?
ここまでご紹介したフィリピンで働くメリットとデメリットから、最初に働く国としてフィリピンをおすすめするのはこんな方です。
・これから海外で働くキャリアを築いていきたい
・細かいことをあまり気にしない。多少の不便に耐えられる
・成長余地のあるマーケット、活気がある国で働きたい
フィリピンで生活、仕事をしていく上のデメリットもあります。ただし、日本で働くときに感じるような切迫感はなく、英語を使いながら、これから成長していく市場で、外国人とチームとなって働くことは、楽しく、やりがいがあります。
私は日本で6年、海外で5年働いてきましたが、フィリピンの仕事・生活環境が合っていると感じます。
フィリピンの求人の見つけ方をご紹介
最後にフィリピンの求人を見つけられるおすすめの転職エージェントとウェブサイトをご紹介します。今すぐ転職を考えていない方も、転職エージェントに登録することのメリットは2点あります。1つは、フィリピンや海外就職に詳しいエージェントに相談ができること。2つめに、非公開求人を紹介してもらえることです。
海外駐在案件や非公開案件の多いdoda
日本企業で働くには、海外駐在あるいは現地採用という雇用体系がありますが、日本本社で雇用され、フィリピンに派遣される形式をとる海外駐在は、現地採用よりずっと給料を含めた待遇が良くなります。そうした海外駐在の案件が掲載されており、非公開求人も多いのがdodaです。
dodaの特徴はこちらです。
・駐在と現地採用の両方の求人を取り扱っている
・海外就職の情報が豊富。ウェビナーも定期的に開催される
・自己診断や書類作成サポートのツールが充実している
・転職コンサルタントに相談ができる
ハイクラス転職を目指すならビズリーチ
海外駐在でフィリピン転職を目指すために、もう1つおすすめのエージェントがビズリーチです。
フィリピン以外も含めた海外の求人数が豊富で、海外転職に詳しいヘッドハンターに会うことができます。良い待遇を目指したい方、フィリピン以外の国も選択肢に入れている方におすすめの転職エージェントです。
ビズリーチの特徴はこちらです。
・フィリピン、アジアのみならず、欧米の仕事も掲載されている
・非公開求人が多く、ビズリーチに登録することで確認できる
・ヘッドハンターに会うことで、転職サポートを得られる
・すぐに転職を考えてなくとも、自分の市場価値の把握に役立つ
現地採用案件が多数のアジアカモメ転職
海外駐在よりも現地採用を検討している方は、アジアカモメ転職がおすすめです。非公開求人は少なく、ウェブサイトで求人を手軽に探すことができます。フィリピン以外では、タイ、ベトナムなどの求人も掲載されています。
アジアカモメ転職の特徴はこちらです。
・非公開求人少なく、登録しなくとも、ウェブ検索で仕事を確認できる
・フィリピン、タイ、ベトナムなど、アジアの求人が大半
・転職エージェントのような手厚いサポートは得られない
フィリピンの求人が見つけられる転職エージェント、ウェブサイトはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
参考>> フィリピンの仕事が見つかる転職エージェント13選
さいごに:フィリピンはこれから海外キャリアを築く一歩目におすすめ
フィリピンを海外で初めて働く人におすすめする理由を解説してきました。
1) 仕事を見つけやすい
2) 働きながら英語を磨くことができる
3) フィリピンが親日国である
4) これから成長していく国。成長や改善の余地を感じながら働ける
5) 平均年齢が低く、マネジメント経験を積みやすい
6) 日本食が手に入り、生活がしやすい
7) 日本から近く、時差も1時間だけ
8) 物価が低い。生活費が安くなる
仕事のなかで使う英語、マネジメント経験、違いを超えて共に働く充実感。こうしたものは、日本では得られなかったものです。今後は他の国の就労にチャレンジしたいと考えています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。あなたの転職活動、キャリアの成功を祈っています。